最終更新日 2024年2月16日 by fireluche

初詣の際に破魔矢を購入するという方は多いですが、お正月飾りである破魔弓を全く知らないという方は少なくありません。
この破魔弓とは男の子が産まれたご家庭で、初正月に飾る正月飾りとして古くから日本に続く風習となっています。
反対に女の子の初正月に飾る飾りには羽子板があるように性別によって飾るものが異なる特徴を持ちます。

初正月に正月飾りを飾る理由

なぜ初正月にこの正月飾りを飾るのかというと破魔弓と羽子板はそれぞれお正月に行われる厄落としや年占いの意味を込められており、産まれたばかりの赤ちゃんは生命力が低く非常に弱いことから1年のうちで鬼門にあたるこの時期を、健康かつ無事に過ごすことが出来るようにという願いが込められ、初正月に間に合うように贈られることが一般的です。
破魔は文字の通り魔を破るという意味を持っており、昔は弓矢で射る的をハマと呼んでいたいたこともありこれを破魔という漢字にあてたことがこの正月飾りの由来とされます。
他にも平安時代には、宮中では男の子が誕生すると弓の弦を弾いて音を出すことで魔を追い払う鳴弦(めいげん)という儀式が執り行われていました。
その後この儀式は時代と共に変化していき、弓矢は魔除けの効果を持つ道具として多くの人々にとって身近な存在となったと考えられています。
また弓矢に使用される矢には無患子(むくろじ)と呼ばれる植物が使用されていたことから、この植物の名前から子供が病気に患わないようにという願掛けがされていました。
無患子は子供の成長を願って贈られる習慣があり、女の子に贈られる羽子板の羽根の部分にも無患子の果実の中にある種が使用されているなど、縁起物として扱われてきた歴史があります。

破魔弓を贈る場合、誰が購入するのか?

では男の子が産まれたご家庭に破魔弓を贈る場合、誰が購入するのかというと昔から妻の実家から贈られるのが一般的だといわれています。
ただし決まった取り決めはなく、地域によっても風習はまったくことなることから、購入時には必ず確認を取ることが重要になります。
近年は夫と妻の実家同士で費用を折半するというケースも少なくありませんし、実家から以外にも男児の親が購入するケースや叔父・叔母、親しい友人から贈られるなど誰が贈っても問題はありません。
ただし正月飾りをたくさん贈られることは保管の手間や、飾る場所にも限度があるので購入前に誰かから贈られる予定はあるのかをきちんと確認するようにしましょう。
販売されている破魔弓は、昔ほど風習にこだわりがなくなってきたことに伴って使用されている材質の選択肢が広がっている特徴があります。
伝統的な作りのものは木製や無患子を使用した縁起の良いものが基本でしたが、最近では軽量で安価なプラスチック製が増えてきています。
飾りで付いている羽根も天然の鳥の羽根を使用しているものもあれば、人工的な素材を羽根に見立てて使用されているなど作りによって様々です。
使用されている素材によって見た目にも大きな違いが出てくるので、色々な種類のものを見比べた上で納得のいくものを選ぶことが大切です。
また飾る場所によっても適切なサイズが違ってくるので、贈る場合には家のどこに飾るか確認するようにしましょう。
では男児がいるご家庭で破魔弓を贈られた場合、いつ飾るべきなのかというと基本的にお正月のシーズンに飾るものとなります。
もちろんお正月以外でも飾ることは出来ますが、一般的に男の子の節句に節句人形と一緒に飾る場合も多いです。

飾り始める時期

飾り始める時期としては12月中旬から1月15日までにしまうようになっていて、昔の行事は12月13日が正月始めとなっていたことからこの風習が現代にも続き、12月中旬から飾り付けを行うことがふさわしいとされ、しまう時期が1月15日なのは小正月を想定しているためです。
ただ飾り付けに適していないとされているのが、12月29日や12月31日の大晦日だとされます。
12月29日は苦立てといわれ忌み嫌われている日であることや、大晦日は一夜飾りと呼ばれることから飾り付けの日としては避けるべきだと考えられています。
一方で1月15日の小正月は左義長やどんど焼きといった火祭りが行われる地域があり、この頃までにはしまうことが風習として残っており一年中出しっぱなしにおくのは縁起がよくありません。
自宅に飾る場合は伝統的な飾り方としてひと目に付きやすい場所を選び、逢魔の方向や凶方向に飾ることが習わしです。
昔の日本家屋は床の間があることが基本だったので飾られる場所として使用されていましたが、現在は床の間がない家がほとんどなので、ひと目につく場所であれば特にこだわらなくても問題はありません。

まとめ

剥き出しのままで置いておくのは少し不安という場合には、埃などがつきにくいケースに入れて飾ることをおすすめします。
一家の男の子が何歳になるまで飾るのかは、昔の男児が数え年で15歳に立志式と呼ばれる元服に因んだお祝いを行っていたこともあり、実年齢14歳になるまで飾るとよいとなります。