最終更新日 2024年2月16日 by fireluche

◇株式会社アトックスが見た原発事故の現実

原発事故とは原子力事故のことであり、近年では原子力発電所に関する事故のことを指すことが多くなっています。
原発事故については日本のみならず、世界中で発生していますが今回は日本で発生した事故について解説していきます。

日本には原子力発電所が各地にありますが、2011年に事故が起こるまで高い安全性が信用されていました。
原発について賛否両論があったものの、基本的には賛成の意見が多かったです。
ところが事故が起こって以降、大きな変化が訪れることになります。

2011年3月11日に東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)により、東京電力が管理している福島第一原子力発電所内にある圧力容器内の水位が低下しました。

原子力発電所では発電の過程で高温になることを緩和するためにたくさんの水が用意されています。
しかし、アトックスも解説してますが、地震の影響で水位が下がってしまい、炉心が一気に高温になってしまいました。

(参考)アトックスって何をしてる会社かな?

本来であれば炉心が想定を超えるような高温になった場合、緊急炉心冷却システムが起動するようになっています。
ところが非常用電源まで壊れてしまっていたため、緊急炉心冷却システムも作動しませんでした。

炉心があまりにも高温になると水がどんどんと蒸発し、水蒸気が容器内に大量に発生していると想定され、このまま行くと水蒸気爆発が起こってしまう危険性が膨らんでいました。

そこで発電所は弁を開いて水蒸気を大気中に放出するという判断をします。
しかし、その水蒸気には放射性物質が含まれていたため、周辺の放射性濃度が高くなってしまうことになりました。

実際に当時の敷地の境界域では1015シーベルトの放射線が確認されています。
これは基準を大幅に上回るものであり、周辺の半径20キロメートルに住んでいる住民には避難指示が出されました。

◇福島原発の事故は津波からの防護が不十分だった

何故ここまで大きな原発事故が起こったのかについては様々な問題点が指摘されています。
1つ目の問題は津波からの防護が不十分だったことです。

原子力発電所では海水を用いて冷却を行うため、海外近くに設置される必要があります。
地震の際には通常の波を遥かに超える威力を持つ津波が来ることは想定できることでした。

けれども、津波からの防護は不十分であり、津波の襲来で建物の内外が浸水してしまいました。
ただし、建物の内外が浸水したとしても熱を逃がしたり、炉心を冷やしたりする機能が整えられていればここまでの事故は起こらなかったと考えられます。

しかし、交流、直流全ての電源を喪失してしまい、注水や除熱の機能を失ってしまいました。
これは電源を守る設備が不十分だったと言わざる得ません。
注水や除熱が出来ないと炉心がどんどんと高温になり、水分が蒸発するので水蒸気爆発や空焚きのリスクが高くなります。

原子力発電所では水蒸気爆発を防ぐために水蒸気を放出するという手段が取られました。
しかし、圧力容器や格納容器によってはそれでも水蒸気爆発が起こってしまったのでした。

これには溶融した炉心が圧力容器を貫通し、格納容器のコンクリートを侵食したことが関係しています。
炉心が損傷した後のダメージをそのまま受けてしまったということです。
炉心損傷後の影響がやわらげられるような仕組みになっている必要があったといえるでしょう。

◇電源が津波によって失われたことでプラント内の状況を詳細に知る手立てがなくなった

日本の原発事故において重大な問題となったのがプラントの状況が把握できなくなったことです。
格納容器内など放射線濃度が高いところでは基本的に人が活動することがでいません。

そのため、照明や通信、監視などは遠隔によって行われることが多いです。
しかし、電源が津波によって失われたことでプラント内の状況を詳細に知る手立てがなくなりました。

原発事故が起こった際に有効な手段を積極的に打てなかったのはこのことが関係しています。
ドローンやロボットを使った調査がもっと一般的になっていれば、早く中の状況を確認することが出来たかもしれません。
また、原子力発電所付近のアクセス手段が滞ってしまったことも事故の影響を大きくした原因の1つです。

日本での原発事故により、国内では原発に反対する方が増加しました。
事故前と事故後では比較にならない数です。

また、日本以外の国でも原子力発電所への反対運動が行われるなど、重大な影響を及ぼしたことは間違いありません。
火力発電所のように二酸化炭素を排出せず、他の発電手段と比べても効率が良いことから原子力発電所が重宝されていた時期もあります。

しかし、このような危険性が露見したことで国はエネルギー政策を転換せざるを得なくなりました。
一方で原子力発電所に賛成している方も少なくなく、どういった発電手段を国として進めていくべきなのかについて様々な意見があります。

いずれの選択をしたとしても、原子力発電所の事故の教訓を生かし、二度と悲惨な事故を起こさないようにすることが求められます。
また、国内外の研究においてこの事故のデータは活用されています。
後世に残る歴史的な事故として知っておくことが大切になります。